研究内容RESEARCHES

広島大学大学院先進理工系科学研究科 スマートイノベーションプログラム
スマートロボティクス研究室 教授
石井 抱 Idaku ISHII
>> 研究テーマ
1秒間に1000コマ以上の実時間画像処理を実現する高速ビジョン技術を始めとして、人間の感覚能力を遥かに上回る実時間センシング技術の確立を目指した情報システム/デバイスの研究開発を行うとともに、高速化・集積化を念頭においたアルゴリズムの研究、さらには人間には感じとることが難しい振動ダイナミクス等の情報を積極的利用した新たなセンシング技術の実現を目指します。

時空間選択型コード化パターン光投影法による三次元画像計測

三次元画像を取得する方法として複数枚のパターン投影に基づくコード化パターン光投影法があるが、複数枚のパターン光投影時に計測対象が静止していることが前提であり、計測対象に動きがある場合に誤差が生じる。したがって、高速な現象の計測を目的とする高速度撮影における3次元画像計測には、必ずしも適していない。本研究では、高フレームレートでの3次元画像計測を目指したコード化パターン光投影法として、時間方向でのコード化に加えて、空間方向でのコード化も選択できる時空間選択型コード化パターン光投影法を提案した。

提案する時空間選択型コード化パターン光投影法は、時間軸でのコード化に加えて、空間近傍でのコード化を可能とするコード化パターン投影法である。 提案手法では、静止領域では時間軸によるコード化、運動領域では空間近傍によるコード化といった、画像領域ごとに空間コード化法の適応的選択を可能とすることを大きな特徴とする。

提案するコード化パターンは、画像内にグレイコードに基づく周期的な分岐パターンを持ち、時間とともにパターンがシフトすることにより、時空間の両方向で空間コードを生成できる。 各画素の空間コード値は、右下図の例のように、時間方向に4 ビット、空間方向に3 ビット参照するなど、時間方向、空間方向の一方向だけではなく、時空間方向に対するパターン選択により取得できる。このように 画像の変化の大きさに応じて時空間方向を選択することにより、静止物体に対する精度の高い三次元計測と運動物体に対するロバスト性を両立することを可能とした。

オフライン高速度カメラとDMDで動作する高速プロジェクタを同期させた動作検証システムの構築を行い、様々な運動対象に対して三次元計測アルゴリズムの動作検証を行った。これらの結果を以下の動画に示す。これらの人間の眼では確認できない高速な形状の変形が、高速かつ高精度で3次元計測できていることがわかる。
波打つ紙
Normal
(MPEG 1.0MB)
波打つ紙
3D Slow
(MPEG 2.7MB)
手の開閉
Normal
(MPEG 1.0MB)
手の開閉
3D Slow
(MPEG 3.5MB)
回転する板
Normal
(MPEG 2.5MB)
回転する板
3D Slow
(MPEG 2.2MB)