研究内容RESEARCHES

広島大学大学院先進理工系科学研究科 スマートイノベーションプログラム
スマートロボティクス研究室 教授
石井 抱 Idaku ISHII
>> 研究テーマ
1秒間に1000コマ以上の実時間画像処理を実現する高速ビジョン技術を始めとして、人間の感覚能力を遥かに上回る実時間センシング技術の確立を目指した情報システム/デバイスの研究開発を行うとともに、高速化・集積化を念頭においたアルゴリズムの研究、さらには人間には感じとることが難しい振動ダイナミクス等の情報を積極的利用した新たなセンシング技術の実現を目指します。

高速視覚を用いた振動可視化


耐震試験や振動による製品検査の現場では、分布的な振動特性情報を計測し、その場で結果を確認したいという要望がある。そこで本研究では、分布的な振動スペクトル情報をリアルタイムに計測し、人間が一目でわかるように可視化することを目的とする。

画素レベルでの振動計測のイメージを下図に示す。一般に、振動現象をカメラで撮影した場合、その各画素における輝度値の時間変動は振動現象に起因する情報を含むものと考えられる。そこでカメラとして高速視覚を用い、各画素で輝度値の時間変動を記録することで、画素レベルで振動スペクトル分布の計測を行う。さらに、この輝度値の時間変動に対し、特定の周波数成分を通すフィルタリング処理を施し、その結果をリアルタイムに表示することによって、 任意の周波数で振動する部分のみの可視化を行う。

正しく半田付けされた抵抗と半田がはがれ固定されていない抵抗が取り付けられた基板を、100Hzで強制振動させた時の応答を計測した。下の写真における赤枠で示した画素列での計測されたスペクトル応答の結果を下左図に示す。半田不良の抵抗部では10Hz付近の低周波成分にピークがみられるのに対し、それ以外では強制振動周波数成分に強いピークが見られることがわかる次に、100Hz付近の周波数成分をカットするフィルタリング処理を行った場合の結果を下右図に示す。強制振動周波数成分が消え、半田不良の抵抗部での低周波成分が強調されていることがわかる。



実際に実時間で振動分布計測、可視化を行っている様子を下に動画として紹介する。1つ目が先に説明した基板の実験の様子、2つ目がギターの複数の弦を振動させ、5弦のみを可視化している様子である。

基板検査 基板検査
AVI(DivX)動画再生(2.6M)
特定弦振動(5弦)の可視化 特定弦振動(5弦)の可視化
AVI(DivX)動画再生(5.4M)